AkisaMiyona’s Blog

放送大学とナルコとパンと

アキサ ミヨナのブログ
今日はどんな1日でしたか?

地に足のついたもの

私は昭和45年に生まれた。

今日に至る47年間、「本物はすべて外国にある」と思い続けてきた。
自分自身がそんなふうに考えてきたと気がついたのはつい最近である。

人生の大半の期間、私の興味関心は料理にあった。
小学生時代は、辻調理師専門学校が全面協力した『料理天国』というテレビ番組に夢中だった。テレビ東京で放送していたアメリカの番組『グラハム・カーの世界の料理ショー』も大好きだった。
お小遣いは料理・製菓・製パンの道具と書籍に注ぎ込み、『きょうの料理』は欠かさず見る。
『きょうの料理』講師陣の中での私のヒーローは小野正吉さん。ホテルオークラ総料理長は、ため息がでるほどカッコよかった。

当時は今田美奈子さんの本が出始めた頃で、本格的なフランス菓子にくぎ付けになった。
「生クリームで飾る代わりにメレンゲを使ってもけっこうです」なんて書かれている素人っぽいお菓子の本が多い中で、今田美奈子さんの本はオーラを放っていた。

昭和30~40年代の料理本を見ると、手に入らない素材をいかに身近なもので代用するかに心を砕いている様子がうかがえる。

私が育った昭和50年代には、そういう“工夫料理”は明らかに格下であった。
製法も材料も正当なものほど評価をされるという空気があった。
そのせいか、成人後も“本格的”ということに囚われてきた。

フランスで何年修業した、フランスの原材料を空輸して使っている、フランスの伝統的製法を守っている……。
そういうことを評価してきた。

もちろんフランスに限らない。
ドイツ、イタリア、イギリス、アメリカ、中国、ロシア。
本場の味を最上とし、日本風をそれに劣るものとしてきた。それは考えるまでもないほど当たり前のことだった。

そんな価値観を40年以上も揺るぎなく持ち続けていたのはなぜだろう。
そういう時代に育ったからだろうか。あるいは私の親が転勤族だったためにひとつの土地に根差して生きることがなかったからなのか。


「価値あるものは遠くにある。ここにはない」と思い込んで根無し草になり、定まることのなかった私のアイデンティティは、最近ようやく昭和40年代生まれの日本人という認識を土台としてしっかり定まった感がある。
きっかけは何だったのか、分からない。OUJ*で勉強し始めたことは大きいと思うが、地に足がついた人、地に足がついたものに出会うことで定まっていったようにも思う。


価値あるものはここにある。
筋が通り、芯があり、素朴で、工夫があり、見栄を張らず、それに関わる人それぞれが自分のストーリーを持てるもの。
料理好きゆえ、大半は食べ物になってしまうと思うが、そういうものを記録していきたい。

m(_ _)m

* OUJ
The Open University Of Japan/放送大学